研究について

What I want to do

研究に対する方向性

本研究室で目指していることは、有機光エレクトロニクスにおける「新構想・新規概念の立案・提案」です。どのような研究であれ、チャンピオンデータの数字はすぐに塗り替えられます。しかし、技術の基盤となる構想・概念というものはそう簡単には塗り替えられません。優れたものであれば、長きに渡り引き継がれます。どのようなものが優れたものかというと、やはり、一般性・応用性・発展性の高いものだと考えます。つまり、特定の材料・デバイスに限らず広く利用でき、応用につながり、他の研究や技術とリンクしてさらなる展望を拓けるものです。そのためにも、誰も注目していない、あるいは誰もが手を付けることを避けてきたテーマ・領域に踏み込み、新たな構想・概念・研究指針を提示し続けることが重要であると思っています。また、それこそが、我々若手研究者がやるべきことであると強く信じています。優れた構想・概念であれば、一人の若手研究者では全てをこなすことができなくても、それを土台として、自然と他の研究者も巻き込んだ形で研究が発展していくはずです。

したがって、本研究室では「論文から研究テーマをそのまま拾ってくる」「周りの人の研究を見て似たことをする」といった二番煎じの方法は原則採らないようにしています。知りたいこと、やりたいことから研究テーマを設定し、その後に関連情報を探しに行く、というやり方で進めています。これまでの経験上、最新論文よりもむしろ基礎的な学術本の中に、新たな研究の種が埋まっているような気がします。

この約20年で、有機半導体デバイス研究は飛躍的な発展を遂げ、多くの実用化製品も生み出してきました。その発展は、言うまでも無く、研究の黎明期に若手研究者として情熱を注いできた多くの大学・企業の諸先生方によるところが大きく、その情熱と研究力を見習っていければと思います。その一方で同時に、現在有機デバイス研究に携わる我々若手研究者は、先達が切り拓いてくれた研究をさらに実りあるものにするためにも(そしてその莫大な「資産」を食いつぶすドラ息子にならないためにも)、そのレールに乗って技術を高めることに加え、独自の新しい道を切り拓く必要があるのではないかと感じています。言うは易し、行うは難し、とは思いますが、そういう研究ができるように尽力し、少しでも日本の科学技術に貢献できればと願っています。

そんな思いを持ちつつ、研究をやっている今日この頃です。共感していただける方が少しでもいればうれしいです。

[Update (revised) 2014.02.16]